林道ファン〜林道探索が好きなバイク乗りの備忘録

林道にロマンを感じるバイク乗りが、日々変わりゆく関東甲信越の林道を実走調査して記録に残しています。

千葉県・林道 蓮見沢線

徐々に風化し崩れつつある、短い素掘り隧道が存在するピストン林道

探索年:2018年2月

所在地:千葉県君津市大戸見

舗装状況:ピストン全ダート

難易度:車重200kg以上走行可

一口メモ:付近には亀山湖・三島湖などの房総の主要な湖があり、当林道も含めて周囲に点在するピストン林道はいずれも南の大塚山に向かって道が延びていますが、そのどれもが先で結ばれることがなく途中で行き止まりとなっています。全区間にわたり道幅はかなり狭いですが、とてもフラットできれいに整備されている全線ダートのピストン林道。途中に出現する素掘り隧道は短いながらも見事な存在感で、一見の価値があります。入口からの延長は約1.4km。

 

 

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房総丘陵特有の複雑な線形を描く小櫃川に沿って続く国道410号線を南下して、大戸見の集落へと分かれる市道に入ってしばらく行くと、右に分岐してカーブに消えていく蓮見沢林道の起点標識があります。グーグルマップのストリートビューで確認してみると、入口の林道標は確認できませんが(2019年1月時点)、2018年の探索日にはきれいな林道標が設置されていました。もし以前のように林道標が見当たらなければ、ただの田んぼへの農道にしか見えなくて見過ごしていたかもしれません。

 

 

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 道いっぱいに広がる冬枯れの草で装飾されている道が続きます。しっかりとした軽トラ幅の轍が続いていますが、夏場は草で生い茂り走りづらい状況になっているかもしれません。

 

 

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左手に溜め池が見えてきました。水面は車道とほぼ変わらない高さでしたが、増水してあふれるようなことはあるのでしょうか?

 

 

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溜め池を過ぎてからは林間に入り、右にカーブしている小さな橋を渡ってからは終点まで小川に沿って山肌を縫うように進んでいきます。

 

 

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ところどころ明るく開けており、房総で目立つピストン林道特有の薄暗くじめじめとした雰囲気がないため気持ちよく走れます。

  

そして、カーブの先に目をやると・・・

 

あ、あれは・・・⁉

 

 

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なんと、素掘り隧道が現れました。明るい雰囲気でトンネルなど予想もしていなかっただけに、うれしい光景でした。ちょっとした小山があるだけの場所なのに、わざわざトンネルで貫くこだわり?が感じられるところが千葉の房総の道らしいところです。現代の道であれば、まず間違いなくこれくらいの小山は切り崩して道を作りそうなので、こういう味のある隧道はいつまでも残っていてほしいところなのですが・・・

 

 

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土質でとても地層がもろく、こうやって写真を撮っている最中でも常に天井から砂時計のように砂がさらさらと降り注いできます。右横の地面にも崩れ続けてたまった砂がこぼれて路面まであふれてきています。まあいきなり隧道全体が崩れることはないと思いますが。

 

 

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素掘り隧道を抜けてからも、幅が狭いながらもしっかりとした固い路面が先に続いています。

 

 

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直線区間が終わると、ちょっとした渓谷の雰囲気を感じながら右にカーブして道は続きますが、蓮見沢林道の終点が近づいてきました。

 

 

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カーブを繰り返し曲がった先には広場があり、ここで終点となります。前方には焚火の跡がありますが、バーベキューでもしていたのでしょうか?

 

 

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千葉県のピストン林道の終点としては、右に小川があり比較的明るい印象ですが、やはり周囲の谷に囲まれ全体的に閉鎖的な雰囲気は隠せず、長居はすることなく引き返すことにしました。

 

 

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広場から林道方向を見た光景です。正面の垂直に高くそびえる杉の木に反して、右の斜面から倒れるように伸びている木もすごい生命力です。

 

 

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帰り道も当然このトンネルをくぐりますよ。左に溜まった砂もかなりの量ですが、実は長い年月をかけてこうやって徐々に隧道全体の長さが短くなってきているのかもしれません。自然の風化には抗えませんが、あと何年、いや何十年か後には隧道そのものが無くなり見ることができなくなってしまう時が来るのかもと考えると、残念な気持ちになります。

 

 

(2019年1月公開)